日本の中の
日本酒

日本の中の
日本酒

神道と日本酒の
結びつき。

歴史に残る最古の日本酒は、日本書記、スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治するために用いた八塩折之酒 です。以来、様々な祭りごとで日本酒は神道と結びついてきました。神道は本来人心を安んじ五穀豊穣を祈願するためで、春の祈年際、そして米と酒を神前に供える新嘗祭が中でも大切な行事です。神事の後には直会(なおらい)という儀式があり、米やお酒を神前でいただきます。醸造の進化では、現在の米麹による方法が見いだされたのは奈良時代と言われています。当時は麹の活動を止める術がなく、四季ごとに酒を造ったと伝えられています。江戸中期には低温殺菌法も行き渡り、一番おいしく造れる時期にまとめて仕込んだ酒を保存しておくようになりました。そして、私たちが現在飲んでいる日本酒の基本的な造り方や飲まれ方が確立していきました。

改めて
文化の中心に。

1973年の出荷量をピークに日本酒の消費は右下がりを続けています。日本酒が日本人の生活から少しづつ離れていき、神事の中の日本酒の役割も形骸化されつつあります。その結果、日常で意識することなく身に付いていた行為や伝統的な知識が時間とともに失われてしまった事を強く感じています。 わたしたち永山本家酒造場が、2019年酒米を作るための農業法人を立ち上げた理由の1つは、その土地の稲作の豊穣を神社で祈願し、直会として神に供したお神酒を土地の人とともに供す日本酒本来の儀式に立ち返るためでもありました。毎年11月23日の新嘗祭を新酒解禁の日と定め、もう一度この二俣瀬に住む方々に日本酒を自然に生活の中に感じていただき、深く日本の文化に触れていただきたいという思いがあるからです。